Sunday 23 March 2014

血判書なかみ

血判書署名のシーンは、今までハブだったカイが、47人目に正式に加えてもらう、というけっこう大事なシーンだ。
それは、彼らの旅程中に起きることは最初からの設定で決まっていた。旅に携帯できる形状である巻物であることを提案し、いくつかサンプルを探して、小物を作る担当の人に渡した。お軸が横になった形状だろうけど、私自身作ったことはないので、資料だけ渡してお任せすると、ちゃんと出来上がっていたのに、とても感心した。何でも作れるんだ。


撮影では、実際に指を切って、判を押す仕草を数人が繰り返すだろうから、失敗しても代わりのあるように、いくつも作る。うろ覚えだけど、たぶん20以上はあったと思う。巻物の状態になってから、私のもとへ来た。巻物になった製品に、直接書くことになるので、失敗するともったいない。書き損じのないように。
(実際書き損じた巻物は記念に失敬してきてしまった。)


資料を見ると、署名者がどういう趣旨の元に賛同しているか、という主題が先にある様子なので、でっちあげてしまう。オオイシ起草の、アサノ臣下が署名、という形に。
スタッフはその部分を「legend」と呼んでいた。伝説、という意味でしか知らなかったけれど、「銘」「題、説明文」という意味がある様子!知ってましたか。



これで legend 部分。
撮るのは 47人全員でない。オオイシは起草者なので、先に署名してあるだろうとして、ホリベなどが 2,3番手、そこから飛んで、最後にチカラ、そしてカイという撮影順序。複数個あるうちの半分を、legend とオオイシまでにして、あと半分は 45人目まで書いたものを用意する。

作成を始めた時の設定では、オオイシが前もって 47人分の名前を書いてしまっていて、それに各自が血判を押す、という設定だったので、全部同じ筆蹟にする。



実際の四十七士の名前を調べ、ホリベなど本編に実際登場する名前を脚本でチェックし、実際にない、架空の登場人物(バショウなど)を足して47人になるようにする。

ここで、カイである。
カイは漢字なのか。
漢字ならどの字のカイなのか。音的な、名の由来である、怪物の怪なのか?個人的に私はカイの音から最初から「魁」をイメージしたけれども、それでプロダクション側が ok なのか?漢字じゃなかったら?塊、快、海、他の漢字の可能性は?
平仮名、変体仮名なら、可以、可い、か以、火以?
(上の写真だと可以)

ここまで血判書の形式や設定などを、時間をみて、オオイシ氏に相談させていただいてた。今回もお話をして、いろいろな可能性をお見せした結果、「魁」で行くことに。不憫だけど、姓はなし。

そして!再び「クリア」の問題。46人分の名前(カイ除く)の許可を取らなければならなかった!映画作るの決めた段階でそれは取っておいて欲しかったけど、、、。

前述の通り、当初はサインのシーンを3月にブダペストで撮る予定だったのが、延期に。そして設定も変更になり、各自がサインして、血判をする、ということになった為、最初から45人分、同じ筆蹟で用意した巻物は全部無駄になった。最初から作り直し。こういうもったいない変更は、他にも度々あった。

それは6月頭の頃。ちょうど、お寺、切腹場、墓地のセットを完成させるタイミングが重なっていて、私は卒塔婆やお札など数の多いものと、連日残業で格闘中だった頃、プロダクションから ウィンザーの森へ行ってくれ、と頼まれる。その撮影の前に、もう一度カイに稽古を付けること、その翌日撮影に立ち会ってくれ、ということだった。





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