Sunday 31 August 2014

ラベル(タグ)付けてみました。どうでしょうか。

提灯いろいろ

提灯の話を続けます。


左は埼玉の久喜市の提灯祭りの様子。これだけ並ぶと壮観。デザイナーが目指した感じはこうだと思います。

版画や資料館の模型で、超巨大なのもありましたが、誇張してるのだろうと思っていたら、

本当にあった。愛知県のみよし市の提灯祭り。素敵にでかい。

当時(江戸時代全般)の資料を探しいた時に見つけたもの。


本人の大真面目な顔に比べ、隣の子供の空いた口が笑えます。
太鼓をお持ちなので、踊る人なのかもしれません。


御ちやうちん所。
糊の鉢や刷毛、盆栽など小物が面白いです。ディスプレイとして色んなサイズ形のものが吊ってあります。


提灯の表面が凸凹で、書きにくい、時間がかかる!これはもしや、紙に書いてから、提灯の型に貼っていたのでは、、、と疑念を抱いてた時に見た写真です。
やはり、型に貼った後で書いてます。
しかも横に向けて書いてる(おじさんの方)。溝に沿って塗った方がいいのかもとヒントをくれた写真。実際そうでした。

また、この写真では、背景に「看板類」という張り紙が見えます。提灯だけでなく、サインライターとして仕事を受けていたのかもしれません。提灯の表面に字が書けるなら、何にでも書けたのか、、、。


色んな形の提灯が見えます。お世話になった末広屋さんに注文する時に、色んな名前があることを知りました。小田原型、弓張型など。傘もあります。傘作りと提灯張り、材料や作り方、必要となる技術が似てるのかもしれません。
ここでも提灯の形にすでになったものに、筆を置いているようです。

提灯に書く字ですが、籠文字という別名があるようです。
以前の記述とだぶりますが、輪郭をなぞってから書く、囲ってから書くので籠?江戸文字の仲間になるようです。



こんなに奇麗にアウトラインを取れるプロは凄い。
江戸文字には、勘亭流、寄席文字、髭文字、相撲文字など、似ているようで、色々種類があります。おおくは、書き順や、自然な筆の流れよりも、結果の黒白の見え方を重視する様子。提灯の字は、遠くから見る事が多く、その際にも違和感なく読めるように、また他の文字とは違った工夫があるようです。奥が深い。






Saturday 23 August 2014

キラ提灯

デジマの提灯の事を先に書きましたが、メインの提灯の話がまだでした。

最も数の多かった提灯は、キラとミカの婚礼の場面のもの。資料中に、お祭りの時に高竿に吊るされた無数の提灯の写真があり、デザイナーが気に入り、作成することに。
長野にある末広屋さんという提灯屋さんと時差を超えて何度もお話させてもらい、野外用なのでビニール製の提灯ばかりたくさんお願いした。色々な形があって、それぞれに名前のあることもその時に知った。大変お世話になりました。

婚礼用のは丸長い型の提灯。
めでたい字を、というので、祝、寿、福などを色んな書体で書くことにする。


まずペインターさんが「 aging 」作業と、上下にキラの紫を塗る。それが乾いた順に私の作業場へ持ってきてもらい、字と、側面に丸を入れて行くことになった。


しかし、当然ながら、表面がガタガタ。
横線は引けるけど、斜めと縦線はことごとく、二度三度と塗り直さねば、線にならない。

直線の多い、隷書が書きやすい(早い)ことに気付き、後半はそれが増えてしまった。

当初の目標は200超えだった。
塗り直す作業が遅く感じられて、だんだん、撮影に間に合わないのでは、と思い始めた。


前と後ろに一文字ずつ、その側面に紫の丸。
手が足りずにヘルプはもらえない。
こればかり、週末返上で、ぶっ続けで2、3週間書いていた。ちょうど、皇太子William と Kate の婚礼で祝日になった連休も、中継をラジオで聞きながら、作業していた。


誰も手伝ってくれないんだもん、と少し投げやりになって、こっそり姪の名前などを入れてみました。結婚に少しは関係あるからいいだろう、、、。

そのうち、もう絶対間に合わない!と、仲良くなった先輩に泣きついていたところ
「出来なかったら、出来ないでいいんだから、私の責任でなくて、作業人員の割り振りした人のせいだから」と言われてちょっとほっとする。その通りです。

できて乾いたものから、野外につれさられてゆく。ロウソクのように、ゆらゆら光る電灯を中に入れながら、所定の場所へ設置させらてゆく。

本当は、書体が同じものが、隣同士に並んで欲しくなかったので、それとなく吊るす担当の作業員に頼んではみたけど、まあ無理で、私が現場で「それこっち」ってやってる暇はまるでない。
並んだ結果を見て、あーあ、と思うところもあり、並び替えたくても、電灯のケーブルが入ってしまっているので、1つ変えたかったら、その列全部をやり直さないといけない。設置後に言い出す勇気はなかった、、、。


結果的に奇麗に見えていたし、祭りの雰囲気出てたし、デザイナーの思惑は成功したのでは。最終的に 140を少し超えた数で、撮影を迎え、それで良いことになった。ふう。

Friday 8 August 2014

ステンシル

先週と今週、またシェパトン撮影所にお邪魔して、映画に出る小物を作るお手伝いをさせてもらいました。良い季節で、外で作業するのも楽しかったし、良いチームだった!


撮影所で字を書く前に、自宅でいくつか書いて、スキャンしたデータを担当のグラフィックデザイナーに送り、彼はそれを基にプラスチックのようなもので、型を抜いて、ステンシルのモールドを作っていました。写真はその抜けたところをもらってきたもの。なんか立体になると、自分の字でもかっこいいな。

実際には、ステンシルと私の手書きとがミックスされたものになりそうです。まだ詳しくお話できませんが、いずれ。

47 でも、似たような作業をしたよーという話を彼らとしてました。
やはり船荷だったのですが、もっと量も種類も多い仕事でした。デジマにある荷物、という設定で、銀、漆器、絹、菜種油などの箱になりました。




やっぱりメインは手で書くものの、小さい、判や印をステンシルにした方が作業が早いのでは、という提案で、いろいろ考えてみます。

実際にメインの手書き文字と合わせてみて、デザイナーの意見を聞きます。これはまさにパッケージデザインで、やってて楽しい作業でした。

見本で同じ表面のものに試し書きして、どんな感じか、書くのがどう手間か。


今でも、身近な所では、酒樽などのラベルデザインは、見てて楽しい。


菜種油のデザインは、作業も後半の慣れてきた頃、どこをステンシルにしたら早いか、分かってたので、上手く行ったと自分でも思ってます。そして作業も早かった。


瓶の中の字、酒にも見えますが、油なのです。↑ そこだけ手書き。

あと銀のフェニックスとか。結構お気に入り。でも本当はもっと細かい鳥にしたかったけど、自分でカッターでステンシル作ってたので、できる作業に限界がありました、、、。



ちょっとしっぽが切れてしまいましたが。
しかしいくつ書いたんだろう、、、。

この銀は前にも出してますね。重複すいません。





セットではこんな感じでした。
私の字の上にさらに、古くさく見えるように色を塗り、( Aging エイジングと呼んでた作業)縄を掛けたりして、ずいぶん雰囲気が出る。画面ではもっとかっこよく見える。魔法です。

今回の映画では英語もたくさん書きました。机の上にあるものが多かったので、たくさん良い資料を見せてもらいながら、楽しく掛けました。またお話できる機会が来たら、ここで書きます。

Sunday 3 August 2014

遊郭ののれん

また!
ご縁があって、Shepperton Studio に行ってきました!
今回はミニ出張 + 外注という感じで、すでに動き出してるプロダクションから必要があって声をかけてもらいました。グラフィックのデザイナー2人と仕事をします。
Victoria 時代の古い、船に関する書類(英語)を作るのと、その仕事をしてるうちに、あ、そういえば中国からの荷物にも漢字が要る、ということで、英語と漢字、両方書かせてもらえました。

今日撮影開始のプロダクションなので、公開はずっと先、詳しくここで紹介できるのも、まだまだになりそうですが、監督も俳優さんも大好きなので、少しだけでも関われて嬉しい限りです。
奇しくも、2日間机を置かせてもらった部屋は、47 の時に居た部屋でした。

さて。
ブダペストのセットで、遊郭の提灯を書いた話を書きました。同じセットのために、のれんのデザインをしました。ブダペストに行く前に、ロンドンでグラフィックデザイナー(ロンドンに残っていた)と一緒に考えました。

のれんは、お店などの店先にあって、屋号が入っていて、日よけにも、看板代わりの宣伝にもなっていたようです。画像検索しただけでも、粋なデザインのものが沢山あって、見ていて楽しい。






篆書や隷書の字がデザインの一部になってるのなんて素敵ですが、ここは遊郭。デザイナーは粋よりも、いかがわしい雰囲気を醸し出したい様子。
なので色っぽめの行書にしよう。
しかし、私が実際に暖簾に書く時間がなさそそうなので、ペインターさんが字が読めないながら書くか、最悪の場合、印刷でもできるようなデザインに、という仰せでした。


Art Department の図を引く人によるイメージ図。
(こういう図を引ける人は本当に絵が素敵に上手いのです)

白地か、と思いきや、最終的に、いかがわしい感じの赤ピンクの地色に。

アシスタントセットデコレーターと、グラフィックデザイナーで、寸法と紋が決められ、私に字が任されます。紋はお花みたいですが、やっぱりちょっとやらしー感じです。

もう急ぎでしたことだったので、記録がちゃんと残ってないのですが、提灯と同じく、遊ぶという字が右側です。「游」かもしれない。しんにょうには見えない。
左はおそらく吉祥の「祥」だと思われます。
最初は紋を横切る感じで二文字並んでいたのですが、のれんからはみ出すくらいに!ということで、こうなりました。

結果的にペインターさんがこれを見ながら、ペンキで布に直接書いたようです。
ジュリアンという人でしたが、本当に才能豊かで、幟の絵などは全部彼が担当、サインライターとしても活躍してる方だったので、これをなぞるくらいはお安い御用だったと思います。

映画の画面では、一瞬、マジョの背景として写ってます。完成品が見たかったな。