Friday 25 July 2014

お札

アコウ村のセットは大好きでした。
事務所から一番遠い、屋外のセットで、豊かな農村をイメージしてできていて、ホントに事前に稲も育てて、茅葺き屋根は専門の人たちが作り、縁側があって、座って作業してると、のほほんとしてしまう良い村でした。

彼らが刀を作ってもらいに行くウエツ村は隣にありましたが、廃れて捨てられた村の設定だったので、雰囲気が全然違いました。全体的に寒色です。

暖色のアコウ村では、干し柿吊るしたり、大根や菜っ葉を干したり、辻にあるお地蔵さんのお供えなど、色々字を書く以外にも手伝いました。

村の掲示板(お触れ等を貼っておく)を書く時に、お札があると良いな、と資料を見ながら考え、もっと資料を集め始めました。


朱印がバックにあって、お寺/神社の名前やご守護の文言が表にあるようです。
おもしろいデザインが多い。

これは鎌倉の杉本寺の御朱印帳です。御朱印は、お札と違うようですが、資料で見た、朱印と表書きの関係が似てるように思える。お役目は違うけれども。










これは熊野大社のもの。面白い!
シンボルの八咫烏が絵文字みたいになってて、不思議です。
宝珠の印があります。



印の部分だけ抜き出すことに。こういう印のデザイン大好きです。


印と、南無妙法蓮華経を合わせました。
無知でしたが、妙蓮華経のお題目は日蓮宗のもので、「髭題目」といって、普通の字のどこかのストロークを伸ばしたり、強調したりするようす。


赤穂に八幡さんは実在しますが、千穂という名ではありません。



黄みがかった紙にプリントしてみます。その上からまた「古く見える加工」をして出来上がり。右のは天狗にちなんで、鞍馬の印。
デザイナーから使用許可が出ます。

村の非常水なんかに貼ってみました。他にもたくさん。
水という字、意外に難しいです。




Friday 18 July 2014

もっと提灯ー出島と遊郭で。

出島、というか、カイが流刑にあって、モンスターみたいなのと闘っていたセットは、ブダペストで組まれました。
カイは「闘うドレイ」のような立場で、持ち主がオランダ商船の船長、という設定で、船長のところへ、オオイシが「カイを返せ」とお金持って言いに行く場面もあったはずで、船長室のセットなんて結構素敵でしたが、丸々カットされたようです。

そこら辺りにも、また、カイとオオイシが闘うところにも、提灯が要るということで、ブタペストでの仕事も提灯が多かった。
船へ渡るとオランダ側、岸が日本という象徴になるように、というデザイナーの指定だったので、下記のように提案しました。上半分は例です。
塗りつぶすより、丸の中に字を入れる案が採用された。ペインターに地色を塗ってもらい、上から丸と字を入れる。ブダペストの街のすぐ外にあるセットは広かったので、デザイナーが乗ってた自転車を時々借りて、ハンドルに3つずつ両側に提灯ぶら下げて走り回ったりしてました。

また同じ敷地内にあったのは遊郭のセット。
キラのマジョが遊女に化けており、そこでオオイシの仲間の1人に催眠術なようなものをかけてしまうとこです。

そこでの提灯の案。
江戸時代の版画に具体例がありました。


赤く塗った提灯に「庵」という字が読めますが、(多分屋号か何か)もっと色っぽい字にしよう、ということで、遊んで喜ぶ、二文字になりました。赤い地に黒文字か、と思っていたら、金箔登場です。

裏話をすると、隣のセットは赤穂、アサノのお屋敷でした。
アサノの土地は温暖で、裕福なお家の設定でしたから、寝所などの調度品が金づくしだったのです。素敵なサクラの箪笥などが金箔で覆われて行くのを、見ていたり手伝ったりしていたら、ちょっと複雑な気分でしたが、映画の画面ではやっぱり格好よく見えているので、さすがにデザイナーはすごいです。

で、そこ用に用意された金箔が余っていたわけです。結果、こういう感じになりました。

金箔を置きたいところにサイズを塗る。提灯の表面は凸凹なので、真四角の金箔を貼っても奇麗に付かず、結果いびつな味のある形になった金の上に、ペンキで字を入れる。

金の部屋で、ふすま絵を書いたのを手伝った際に仲良しになった絵描きさんにも字を書いてもらいました。(あのマジョが天井から下りてくるところの背景になってた天井がなんてとても奇麗でした。)
感心するのは筆の持ち方。お習字初めての方です。
自然に軸の上の方を持ち、書く面に対してかなり筆を立てて書かれています。さすがー。
後ろに、くだんの自転車が少しのぞいています。

遊郭ののれんも書きましたが、また今度のお話で。

遊びで作って、皆にかわいがられた挙げ句、撮影終了後はデザイナーの娘さんにもらわれていった、たこちゃんです。 提灯じゃないですが、赤い丸つながり、、、で。