Saturday 15 March 2014

習字指導

ブダペストの撮影所で、昼休みの30分をもらって、血判書にサインする予定の俳優さん達に習字指導をする。
行くと日本からいらした俳優さんたち全員にカイ、そしてサインすることはないのに、キラ氏とマジョも同席。マジョは、目の色が変わるコンタクトに慣れるために普段から練習中で、不思議な目になってた。キラ(浅野氏)はその前に赤塚不二夫の役をされたらしく、バカボンのパパとかすっごい上手に、本物のように書いてて、ちょっと感動。全員揃ったかなと思って始めようとしたところに、オオイシ氏が最後に参加、途端に全員立ち上がって声の揃えて「お疲れさまですっ」。思ったより体育会系な、俳優さんの世界。以上、余談でした。
(あ、この時点でチカラ役が誰になるか、まだ決まってなかったので、彼なしです)

英語で、と言われてたけど、途中からカイが気を使って、是非日本語で、と申し出て下さって、日本語で説明。まず座り方と、筆の持ち方から。


サインするのに用いる筆は小筆ということになっていた。男性はそれでも少しひじを張り気味でも良いと思うと言った。きっと当時の人たちは慣れてるから、左手を添えなくても書けたと思う。筆は立てて書くこと。鉛筆持ちにならないこと。

その後、当時の文書や筆蹟の例を見てもらう。内蔵助はさすがに資料として筆蹟が残っている。しっかりした、でも荒くない、バランスの良い字に見える。(下、画像)


次の横長の画像は主税の筆蹟。
若い、のびのびした気持ち良い字の様子。



カイ以外は皆、筆は学校で持ったことがあるとのこと、ホリベ氏はご自分でも少しされるらしい。オオイシ氏も心得がありそう。きっとホントに字を書いてる手元や字は、その撮影では行われないので、大体の筆運びができれば良いと思って、皆さんに筆の持ち方だけ注意していただいて書いてもらった。
カイにとって、習字初めて、筆持つのも、字を見るのさえ初めて。資料を見せている時に、文書によって全く雰囲気が違って見えるけど、全部同じ字なのかと聞かれた。興味深い質問。行書、草書が混ざっていたからか。目が良いんだな、と思った。
彼自身は左利き。どちらで筆を持つかも決めてない、とのこと。その時は左で書くつもりで、筆持ってお教えした。結局、本番も左手を使っていた。

でも30分だからすぐ終わって、皆また撮影へ戻って行った。なんか全然やりたいこともできなかったので、もう1回チャンスがあれば続きをしようとオオイシ氏と話した。

もうこれで撮っちゃったら、変なことにならないかな、これで習字指導で名前が出たら、恥ずかしいんじゃないかなと考えていたら、生まれて初めてくらい夜寝れなかった。夜中に何度も起きた。朝方も2時間続けて寝ていなかった。

疲れた、と思いつつ次の朝出勤したら、皆コンピューターの画面に釘付けだった。今まで話したことのない人たちが、「大丈夫」と声を書けてくれる。何だろうと思ったら、CNNのニュース画面で、家が水に流されていた。何かの映画の場面のようだったけど、少ししてから、日本だ、と気が付いた時に、ケンブリッジにいる親友から携帯に電話があった。3月11日の朝だった。

結局、血判書サインの場面はブダペストで撮らなかった、と後から聞いた。その後、Windsor の森の中で撮影があって、私も立ち会った。それは次回。

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