Sunday 1 March 2015

紙垂

しで、という言葉に聞き覚えがありますか。
紙垂(または四手)と書いてしで、と読みます。聞き覚えはないものの、画像を見ると、日本にいる日本人なら必ず目にしたことのあるものです。


注連縄などと一緒によく見られる、紙のお飾りのことでした。
神主さんがお祓いされる時や、お捧げものの玉串などにも付いてます。
神聖な域を示すため、またはこれに囲まれた内部を外の悪しき物から守る意味があるようです。
可笑しかったのは、スタッフの間でのこれの通称が「シントウ・ライトニング」つまり、神道の稲妻、(神道のものであるという認識はあった)だったのですが、本来の意味を調べていると、稲妻のように尖らせて、外部の悪を威嚇する意味もあったようで、あながち「ライトニング」も見当違いではなかった事です。


よく見かけるのは、最初の写真のものですが、上の写真のものは伊勢流という切り方のものだそうです。紙垂と検索をかけると、作り方を載せて下さってる親切な方が多くて、またまた助かりました。神棚や祠などに、小さいものを作ることが多くありました。



キラの城の、外側の飾りを進めている時に、デザイナーが見つけた資料のうちの一つに、幟の上に笹や、この紙垂を束にして、高い竿のてっぺんに付けたものがありました。正式な名称は分かりません、、、。


写真は、愛知県半田市のお祭りの幟のようですが、他に山車行列の際に、竿の先に付いていたりします。これを作ろう、という事になりました。

こういう時に、物を作る人たちは、こういう写真から、人の背丈がどのくらいなので、竿は何メートルくらいだろう、すると、飾りはこのくらいの大きさだろう、と縮尺で大きさを割り出すようでした。
キラの城や櫓の上に付けるなら、紙垂のふさふさは、私の身長くらいになります。

そして材料は、本来美濃紙など厚めの和紙であるけれども、屋外のセットに使うために耐水性のものでなくては保ちません。仲間で相談して、バイヤーが買って来たのは、IKEAのポリ製の安いブラインドでした!

それを寸法通り切って折り、アイロンをかけ、その上に解けてこないように折り目を薄く糊で貼りました。切っては折り、切っては折り、ボリュームのあるフサフサにするにはけっこう沢山ライトニングが要りました。

2階建ての家のてっぺんまで届きそうな竹の先に、ふさふさを取り付けます。

ワサワサと、かついで屋外のセットまで行く途中で、日本からいらした殺陣やアクション担当の方々とすれ違いました。皆さん「あー神社にあるやつのでっかいのだ」。やっぱり名前はご存知ないようでした。



けっこうフサフサにしたつもりでしたが、2、3日外に出していたら、こんな感じです。もっと量が要ったのかも!

資料にあった笹がてっぺんに付いたものは、幟のいくつかにそのアイデアが反映されました。これは砦のような所の幟です。自分の字が屋外のセットに実際にあるのを目にした、
最初のもののうちの一つでした。

なんで笹つけるんでしょうね。
他に五色の布や、三段になった傘など色々飾りの種類がありました。きっとそれぞれ調べていたら意味があるに違いない。

とは言え。作り方が分かったので面白くて良いのですが、なぜ私が紙垂担当になったのでしょう。それ以降も「ライトニング」が要る時は私が作りました。