Sunday 23 February 2014

お墓系

日本の主な宗教というと仏教か神道。制作してる時点で日本でを大きなマーケットとして想定していた制作チーム、日本人観客の気持ちを大事にするために、よく私にも、これで間違っていないか、大丈夫だろうかという質問が来た。結果、神棚、仏壇などの飾り付けによくかり出された。
このお位牌は、アサノ家の仏壇にあるように、という設定。本体は日本から来たものに、スプレーで塗装し、その上から戒名を書くというもの。当初はアサノの戒名を、と言われ、日本一長い戒名のうちの1つである彼の名を入れようとレイアウトし、書けたところで、「あ、ミカのお母さんの戒名だった」。


墨で良かった。奇麗に拭き取ってから書き直し。
これらは彼らの本当の戒名。「クリア」手順を踏んで。








変わってこちらキラの先祖の墓。架空の戒名を勝手に編み出して「クリア」した後、これらを作ってる人の作業場に行き、直接墓石に書いたもの。うまーくできてるけど、石膏製。最終の色の塗る前の段階で表面に、水で書いた。
その後から削る人が、字の輪郭通り彫った様子。Vでなく、底の平たい彫り方だった。
それから最終の色塗り。焼き討ちに合うのシーンで使われたはず、、。





泉岳寺にある本物のアサノの墓の複製許可が取れていたようなので、全くそっくりに作る。書いて、スキャンして、データとして彫る人に渡して、セットに設置されたのを撮影の前日に見たら、なんと鏡文字に彫られていた、、、、。彫る人、やり直し。当然だけど、私以外誰も気が付かなかった。改めてびっくり。
この前でカイたちはキラの首持ってご報告に。




アサノ家代々の墓地。
卒塔婆の数ったらなかった。
最初8本だけだったのに、フタ開けたら20本以上用意されてた。卒塔婆も宗派によって書くことが違うんだった。




石には苔などもちゃんと付いてた。でもおかしかったのはサクラが全然地面に散ってなかったこと。指摘して、花咲か爺のように、撮影前に皆でプラ製の花びらを撒いた。






最初のお位牌が安置されてる設置のお寺のお部屋。ほぼ日本から持ってきたものばかり。香炉やお供えのお花を選んだ。あと仏さんの両脇の黄金の蓮を組み立てるのが、意外に大変だった。
ご位牌の後ろの奉納の木の札も作った。焼き板みたいで懐かしいサマーキャンプを思い出した。






その他、村にある道端の仏さんや、墓地にある仏さんへのお供えとかも担当した。おみかんがいいかなとか、お団子かなあとか面白かった。多分、イギリス人スタッフが資料を集めて一生懸命にやるほどでもなく、微妙に違うと恥ずかしいので、やっといてってところだと思う。道ばたに仏さんがある風景、良いと思う。
多分こんなに卒塔婆が周りにないと思うケド。



Sunday 16 February 2014

短冊 辞世の句



 さて、やっぱり最後は、ほぼ皆死んでしまうので、切腹のセットの1つとして辞世の句の短冊があるのは最初から想定されていた。アサノは特に先に逝くので、そこから始める。
日本で習字をすると、私の教室では仮名文字は中学入学と共に始まる。他にも色んな興味が出てくる頃で、私もそんなに一生懸命習わなかった。先生の先生は仮名文字に特に情熱を持っていらしたので、今思うともったいない限り。
漢字とかなり違う。字も違う。変体仮名を使うと、連綿のコンビネーションは無限大にある。私はまだまだ勉強不足です。先生に怒られそうです。


オオイシはアサノの無念な句に比べると、事を成した後の清々しい感がある。出だしが「楽しいなあ」だもの。大好きだった。







そしてカイ。
実際、カレは天狗に育てられ、まともに字が書けたのだろうか。句を詠むということができたんだろうか。でも台本には英語で辞世の句が書かれてあった。きっとどこかでいつか必ずあなたと会いましょう、と。

古文の勉強ももっとしておけば良かった。これを頑張って俳句風に言葉を変換して、普通に書き流したところ。





そこから変体仮名を組み合わせる。
無限大な組み合わせ。










アサノやオオイシのお殿様な大らかな感じと変えて、ちょっとひっかかった風にしてみた。
けどまあ画面にはでてないんでしょうけど。




元禄の頃は色々面白い作風の短冊があった。太い細いがはっきりしていて、太いところはとてもたっぷりしている。古筆で勉強する万葉がなと比べるととてもコンテンポラリーな感じだった。

そして四十七士分、辞世の句はちゃんと残っている。だいたい皆すっきり納得して逝ってる感じだけども、オオイシの楽しそうな感じに勝つ句はない。侍らしいのがほとんど。チカラもフィルム中では助かったけど、ほんとは辞世の句がある。語り尽くせなかったのは、父オオイシとだろうか。
これ、やっぱり再び47人分、英訳をラフにした後で「クリア」しないといけなかった。でも主役級以外はきっと、誰が誰の短冊を持ってたか、ぐちゃぐちゃだったに違いない、、、。

筆蹟を変えて書いてみるのは、血判書を作る時に役立った。それはまたこんど。




Thursday 6 February 2014

幟とか。布に書く。

日本って今でもお店の宣伝に幟立ってますね。この映画でも、看板よりも、数知れない量の幟、旗を作りました。ミシンの人たちが連日幟を作ってた気がする。

これは 30m 長さのあった透けるシルクに、金メタのペンキで書いてるところ。この後、たてに裂いて布短冊みたいにしましたが、セットに使われてるのを見なかった、、、。倉庫で箱に入ったままかな。


これは布がメタリックな素材。紙と同じく机上で書くと、墨もインクもすっと通り抜けて布に残ってくれない。
Youtube で、鯉のぼりの絵付けしてる人のビデオ見つけて、注目していると、空中で書いてた。そこで、、、




倉庫で 場所見つけて、両端をなるべくぴんっと貼って、墨も水溶性ペンキも、どろどろな感じで書くと、ちゃんと布の上に残る。これは青蓮バトル大会用だったはずだけど、やはり使われなかったかも。




これはキラの砦にありました。しかし、今度は上にありすぎて画面に映ってない気がする。笹や、巨大に高い神道のフサフサと共にお城セットにあったけど。
フサフサも作った。あのお祓いの時などに、神官が振るやつ。Shinto lightning - 神道のカミナリとうちのチームでは呼ばれていた。ちゃんとオンラインで作り方、切り方を載せて下さってる方がいて感謝感激だった。









映画観て下さった友人と話してたら、そんな場面あったかなあと遠い目をされたけど、キラの父の墓場がひのうm場面。お墓へ行くまでの参道(?)に幟を立てることに。資料で見た神社の参道までの幟と、多分イメージがごっちゃになってるデザイナー。墓場なので白い布にすることに。
そしたらアートディレクターが「なんで白なの。キラの場所ならキラの色でしょ」と撮影の日に、軽く。


布部の人へ駆け込んで、巨大ゴミバケツの中で急遽紫に染め直し、絵描きの人に思い切りいやな顔されながら、黒く上下を塗ってもらった上から、銀のメタルペインとで同じデザインで書き直し。乾かないのでドライヤーかけまくり。



確か左右に6本ずつ、計12本を、焼いちゃうので、スペア入れて3セット、大特急でした。この奥にいるのがキラの父。墓石ですが、注連縄(しかも三つ編み)がかかっている。
石に見えるのは石膏で、これにも名前が彫ってあるけど、墓石シリーズはまたの機会に。

あと切腹の舞台となった建物の柱を、般若心経でくるんだのも絹でしたが、あれらは最後の方の仕事で気に入ってるので、これもまた改めて。
あとは短冊とか、血判書ですね、いよいよ。そろそろ。









Saturday 1 February 2014

冊子類

キラやミカの寝室や書斎の調度品を揃える時に、冊子類を作るチャンスがありました。お琴の楽譜などの興味深いものも資料にはありましたが、日本からバイヤーが買ってきたものの中に、謡の本も多くありました。



ゆっくり初めてみましたが、木版のようで、字がカクカクしてて良い。ドイツの木版の字を思い出した。
それでも本を開いて見ると、下より上に余白が多く、閉じてあるところ、頁の端はぎりぎりまで字がある。袋とじだからか。




西洋の手書きの古い本は、上より下の余白が多く、ページを繰る時に手が触れる頁の端っこは空いている。違いが面白く思いました。








その通りコピーして書いてみる。
浮世絵もそうだけど、日本の江戸時代の版画一般、デザイナーや絵描き、版元の名前は残ってるけど、彫った人も凄いと思う。






表裏表紙付けて、和綴じで出来上がり。この頃は撮影スタート前で時間があったからこういうお試しをしてる間があった。この後キラ家の作法本を作って、塗りの箱に入れたりした。




資料の中にこういう物が。何か調べてみると、殿中のお作法集のような。お殿様が居られる部屋に、どう控えていて、入って、ここでお辞儀して、こっから出る、というような見取り図が見られ、類似のことを集めて冊子にしたものの様子。面白そうなので真似することに。




それを、イノシシとか虎隊が試合をする場面(Blue Lotus 青蓮試合と呼ばれてた)のセット準備が進められていた時、その試合会場見取り図とすることに。





冊子にして、4−5冊をひとまとめに、資料をもとにそれをまた巻にして、絹紐で結んでまとめる。
デザイナーお気に入り。
アートディレクターと話して、来場者へ門で配れば良いのでは、と。
「いくつ要りますか」
「200くらい。明日の晩だから、撮るの。」






手で書いてたら間に合わないので、コピー機が受け付けてくれる、それらしい紙を選んでコピーして、折って、糊付けて。



 200できて間に合いました。