Friday 18 July 2014

もっと提灯ー出島と遊郭で。

出島、というか、カイが流刑にあって、モンスターみたいなのと闘っていたセットは、ブダペストで組まれました。
カイは「闘うドレイ」のような立場で、持ち主がオランダ商船の船長、という設定で、船長のところへ、オオイシが「カイを返せ」とお金持って言いに行く場面もあったはずで、船長室のセットなんて結構素敵でしたが、丸々カットされたようです。

そこら辺りにも、また、カイとオオイシが闘うところにも、提灯が要るということで、ブタペストでの仕事も提灯が多かった。
船へ渡るとオランダ側、岸が日本という象徴になるように、というデザイナーの指定だったので、下記のように提案しました。上半分は例です。
塗りつぶすより、丸の中に字を入れる案が採用された。ペインターに地色を塗ってもらい、上から丸と字を入れる。ブダペストの街のすぐ外にあるセットは広かったので、デザイナーが乗ってた自転車を時々借りて、ハンドルに3つずつ両側に提灯ぶら下げて走り回ったりしてました。

また同じ敷地内にあったのは遊郭のセット。
キラのマジョが遊女に化けており、そこでオオイシの仲間の1人に催眠術なようなものをかけてしまうとこです。

そこでの提灯の案。
江戸時代の版画に具体例がありました。


赤く塗った提灯に「庵」という字が読めますが、(多分屋号か何か)もっと色っぽい字にしよう、ということで、遊んで喜ぶ、二文字になりました。赤い地に黒文字か、と思っていたら、金箔登場です。

裏話をすると、隣のセットは赤穂、アサノのお屋敷でした。
アサノの土地は温暖で、裕福なお家の設定でしたから、寝所などの調度品が金づくしだったのです。素敵なサクラの箪笥などが金箔で覆われて行くのを、見ていたり手伝ったりしていたら、ちょっと複雑な気分でしたが、映画の画面ではやっぱり格好よく見えているので、さすがにデザイナーはすごいです。

で、そこ用に用意された金箔が余っていたわけです。結果、こういう感じになりました。

金箔を置きたいところにサイズを塗る。提灯の表面は凸凹なので、真四角の金箔を貼っても奇麗に付かず、結果いびつな味のある形になった金の上に、ペンキで字を入れる。

金の部屋で、ふすま絵を書いたのを手伝った際に仲良しになった絵描きさんにも字を書いてもらいました。(あのマジョが天井から下りてくるところの背景になってた天井がなんてとても奇麗でした。)
感心するのは筆の持ち方。お習字初めての方です。
自然に軸の上の方を持ち、書く面に対してかなり筆を立てて書かれています。さすがー。
後ろに、くだんの自転車が少しのぞいています。

遊郭ののれんも書きましたが、また今度のお話で。

遊びで作って、皆にかわいがられた挙げ句、撮影終了後はデザイナーの娘さんにもらわれていった、たこちゃんです。 提灯じゃないですが、赤い丸つながり、、、で。


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